「裁判員困る」零細企業悲鳴 東北 仕事に支障、死活問題
裁判官と一緒に刑事裁判の審理に当たる裁判員制度の開始まで2年を切り、東北の零細企業からは不安の声が聞こえる。少ない従業員でどうにか操業している現状で、裁判員として1人でも引き抜かれると、死活問題につながりかねないからだ。最高裁は「農繁期の農家など、仕事上、参加が困難な時期は辞退できる」と説明するが、慢性的な人手不足に悩む零細企業には何らかの配慮が必要となりそうだ。
http://www.kahoku.co.jp/news/2007/05/20070514t71028.htm
「この店は、わたし1人しかいない。何日もシャッターを下ろしていたら、客が離れてしまう。裁判員制度の趣旨は分かるけれど、わたしは行くことができない」
こう語るのは青森市のリンゴ販売店の女性経営者(55)。毎朝午前6時半に店を開け、数百個のリンゴを並べ、10時間以上ずっと店番をしている。休みが取れるのは日曜日だけだという。
「市内にはリンゴ店が多いし、いったん離れた客を呼び戻すのは至難の業。裁判員に指名されたら店がつぶれるかもしれない」と不安を漏らす。
「たとえ罰金を払うことになっても、従業員は裁判員に出せない」と憤るのは、宮城県塩釜市の製函(かん)業の男性(51)だ。役職は専務だが、工員2人と魚市場に水揚げされる魚の大きさに合わせて木箱を作り、配達をしている。
不景気のため、10人いた工員もこの10年で7人減らした。本マグロの水揚げが集中する夏場は3人とも市場に付きっきりで、それ以外の時期も夏場にできなかった箱作りと配達で手いっぱいだ。「3人フル稼働」で何とか持ちこたえている。
東北はとりわけ零細企業が多い。東北経済産業局の調査によると、2004年に東北6県で従業員数が1―3人だった企業は約25万1000社で、全企業数の54%を占めている。
最高裁が4月に公表したアンケートによると、裁判員になる場合の障害に「仕事」を挙げた回答者は32.8%。「ほぼ1人、少人数で仕事をしている」が理由の4割を超え、トップだった。
最高裁は、零細企業から人を出しにくいことについて「企業規模に応じた事情をさらに調査し、裁判員の辞退理由に当たるのかどうかを判断したい」と話している。
[裁判員制度]国民の司法参加が狙いで、選挙人名簿から選ばれた20歳以上の市民が裁判員となり、裁判官と一緒に殺人や放火などの刑事裁判の審理を担当する制度。日当が支払われ、法廷は3―5日間程度、連日的に開かれる。2009年5月までに始まる。
2007年05月13日日曜日
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