陪審制 豪に学ぶ
裁判員制度導入後の効果的な弁護活動に役立てようと、京都弁護士会の弁護士らが先月、オーストラリアのシドニーで、現地の陪審裁判を視察した。来年5月21日のスタートが決まった裁判員制度の下では、同様の市民参加型の裁判員裁判が始まるだけに、同弁護士会館で会員を対象に報告集会を開いたメンバーらは、「見聞きしたことを広く市民に伝えて制度への理解を深めてもらうとともに、制度が始まった時の糧にしたい」と意気込みを語った。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kyoto/news/20080412-OYT8T00044.htm
広島弁護士会の弁護士1人を含む8人。オーストラリアの司法制度に詳しい立命館大法科大学院の指宿信教授から現地機関を紹介され、5日間訪れた。
ニューサウスウェールズ州最高裁では殺人罪に問われた兄弟の初公判を傍聴。罪状認否で、陪審裁判の対象となる無罪主張がなされ、あらかじめ集められた約45人の市民から陪審員12人を選ぶ手続きが行われた。
この後、「証人予定者は114人」という弁護側の意見で、公判日程を6週間と決定。陪審員は公判が続く間はほぼ連日、日中のほとんどを拘束されるといい、メンバーらは「裁判員の負担を減らすことに頭を抱える日本とは考え方に違いがある」と驚いたという。
また、現地には「バリスター」と呼ばれる法廷活動専門の弁護士がおり、メンバーらは「陪審員に主張を繰り返し聞かせ、印象づけるのが上手。裁判に慣れない市民に理解してもらう方法は意外とオーソドックス」などと分析した。
このほか、同最高裁の判事や同州検察局の検事総長らにも話を聞き、仕事や子育てなどを理由に陪審員就任を望まない市民が多いことや、より良い制度を目指し、各機関が環境や手当の改善を提言していることなどを知ったという。
視察を企画した辻孝司弁護士は「法曹関係者が『裁判官の判決より、多様な構成の一般市民の判断の方が信頼感が大きい』と口をそろえていたのが印象的だった。日本でも、市民がこう思える制度にしなければならない」と話していた。
(2008年4月12日 読売新聞)