滋賀弁護士会長 河村憲司さん 57
社会への責務果たす
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20080511-OYT8T00628.htm
裁判員制度の導入まであと1年余り。司法制度の変革が加速する中、4月に滋賀弁護士会長に就任した河村憲司さん(57)に、活動方針や課題などについて話を聞いた。(中根靖明)
――なぜ、弁護士を志したのですか。
組織の中より、比較的自由な弁護士の方が、自分の持ち味を生かせると思ったのです。難関の司法試験に挑戦してやろう、という気持ちもありました。10回以上受験して合格したのですが、最後は「あきらめたら一生、悔いが残る」という意地でした。
――弁護士として印象深かった事件は。
大津市の瀬田川沿いで1995年、頭部などが切断された女性の遺体が見つかった事件で、殺人などの罪に問われた男性の弁護を担当しました。懲役15年の判決が確定して服役中ですが、今も年に1~2度、手紙のやり取りをしています。過去に受け取った手紙には「被害者に毎日謝っています。私の犯した罪や罰はすべて私に当ててほしいと、神様や阿弥陀(あみだ)様にお願いしています」という文面もあり、被害者の冥福(めいふく)を祈る気持ちがにじんでいると感じています。
――会長としての抱負を。
弁護士会が、社会に対する責務を果たすことができるよう頑張りたいですね。会員がそれぞれの仕事を円滑に進められるよう後押しするとともに、裁判員制度にも適切に対応していきたいと思っています。
――裁判員制度への準備は順調ですか。
正直なところ、進んでいるとは言えない状況です。裁判員にわかりやすく訴えることができるよう、会員への研修を実施しなければ、と思っています。
――裁判所があるのに弁護士のいない「ゼロ地域」の地裁長浜支部管内に、法律事務所ができるそうですね。
弁護士が大津から交代で通っている事務所はあるのですが、近く、1人が常駐する事務所もできます。長浜に定着する弁護士が増えれば、法的問題を抱える市民の「掘り起こし」もできると期待しています。
――滋賀の法曹人口についてはどう考えますか。
現在、82人の会員がいますが、取り調べ段階で弁護士がつく制度の適用範囲拡大なども視野に入れると、100人程度は必要です。でも、司法試験の合格者が急増し、既存の事務所が受け入れ切れないのも事実。滋賀に限らず全国的な課題になっており、法曹人を社会に送り出す過程について再検討すべきでしょう。
早稲田大法学部卒業後、1988年に司法試験合格。「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」の原書を読みたいと思い立ち、3年前に始めた英語の勉強が趣味。座右の書は哲学者・西田幾多郎の「善の研究」。家族は妻と中学生の長女。
(2008年5月12日 読売新聞)