審理3時間、初日は閉廷 東京地裁で初の裁判員裁判
市民が刑事裁判に参加する初めての裁判員裁判が3日、東京地裁(秋葉康弘裁判長)であった。審理に先立ち、地裁では午前中、裁判員を選ぶ「選任手続き」が行われ、6人の裁判員が選ばれた。5人が女性で男性は1人だった。初日は約3時間の審理があり、閉廷した。4日午前10時から再開する。
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全国「第1号」の裁判員裁判の対象となったのは、殺人罪に問われている無職藤井勝吉被告(72)。5月に東京都足立区で隣人をナイフで刺殺したとして起訴された。公判の冒頭、被告は起訴内容を認めた。裁判員は量刑を中心に、判断を求められることになるとみられる。
審理のため、地裁は73人の裁判員候補者に呼び出し状を発送した。地裁によると、6人に呼び出し状が届かず、仕事や家庭の事情で事前に辞退を認められたのは18人だったため、この日の選任手続きには49人が出席を求められた。2人は出席せず、実際に足を運んだのは47人。その中から、2人が当日辞退を希望して認められた。
その後、午前10時38分にくじ引きが行われ、6人の裁判員と、裁判員が病気などの事情で欠けたときのための補充裁判員3人が選ばれた。9人の氏名や性別などの個人情報は一切公表されない。
裁判所による「公判前整理手続き」で事前に固まっている審理予定に沿って、審理は進行している。被告の罪状認否の後、検察側、弁護側の双方が冒頭陳述を述べた。いったん30分間の休廷を挟み、証拠の取り調べをした。再び休廷した後、事件の目撃者の証人尋問を実施し、初日の審理を終えた。この日は裁判員の発言はなかった。閉廷直後にひとりの傍聴人が「裁判員制度反対」などと廷内で叫んだほかは特に混乱はなかった。
公判は4日間連続で開廷。4日の被告人質問では「被害者参加制度」に基づき、被害者遺族が直接、被告に質問。5日に検察側の論告求刑と弁護側の最終弁論が終わると結審し、裁判員と裁判官は判決を話し合う非公開の「評議」に入る。判決は6日午後にも言い渡される見通しだ。
日本で市民が刑事裁判に参加するのは戦前・戦中に15年間実施された陪審員裁判以来。陪審員裁判では、市民が裁判官に有罪・無罪の判断を答申し、裁判官が判決を出す仕組みだった。市民が裁判官とともに有罪・無罪を判断し、刑の重さ(量刑)までを考えて判決を決めるのは初めて。市民感覚の反映を目的とした裁判のスタートで、日本の刑事司法は新たな一歩を踏み出すことになる。