【裁判員 聴く(26)】「あっ~。あっ~。あっ~」 “暴走する”被告に裁判長絶叫(16:50~17:00)
《藤井勝吉被告が被害者の文春子さんとトラブルになり、殺害するまでの状況について検察官の追及が続く》
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090804/trl0908041815037-n1.htm
《公判段階になり、藤井被告は『(文さんが)先に身体に接触してきたことが事件の発端となった』と主張するようになった。検察官はこの点を厳しく聴いていく》
検察官「なぜ、あなたは捜査段階で話さなかったのですか?」
藤井被告「それは…。被害者に対して言ってしまっては申し訳ないんじゃないかと。胸のうちにしまっていた方がよいかと…」
検察官「(文さんが)先に身体に接触したということは、あなたの心証をよくさせるものではないのですか?」
藤井被告「あの~。検察官に対して殺意を持っていたということはいいませんでした。だけど、裁判ではそれを認めている」
《質問と答えがかみ合わず、直ちに検察官がたたみかける》
検察官「そうではなくて、あなたは捜査段階で自分に優位に進むような話をしていなかった。なぜ今になって話すようになったのか?」
藤井被告「その辺りのところは、本来であれば言わなかった。だけど、被害者の家族が(公判で)『死刑にしてほしい』と言っていた。あまりに(判決が)悪くなってしまったら…」
《何度も厳しく問いただす検察官に、藤井被告も冷静さを失い、本音とみられる発言も飛び出す。検察官はさらに質問を重ねる》
検察官「ちょっと私の話を聞いてください。あなたが、(文さんが『先に身体に接触した』とする発言をしたのは)公判で遺族が証言する前ですよね」
藤井被告「はい」
《話がかみ合わず、矛盾を繰り返す藤井被告の様子をみて、検察官は優位な証言を引き出せたと思ったのか、「では結構です」と話を先に進めた》
《次に、検察官は文さんを刺したナイフの鞘をどこに捨てたのかについての追及に入る》
《検察官はナイフの鞘を玄関付近に捨てたとするが、藤井被告は「違う」と繰り返す》
《藤井被告は「ナイフは脅すためのもの」と証言するが、検察官はナイフの鞘を玄関付近に捨て、文さんに向かっていたのなら、初めから殺意が強かったと立証したいようだ。このため、鞘を捨てた位置関係を何度も尋ねる》
検察官「見取り図で捨てた(と証言した)位置と違うが…」
藤井被告「いやそうじゃない」
《かみ合わない問答に、裁判員の頭の整理が難しいと感じたのか、秋葉康弘裁判長が思わず割って入り、藤井被告に尋ねる》
裁判長「今聞かれていることはね。鞘を手から離したのは、どこかということです。あなたは覚えていますか」
藤井被告「いや(覚えていない)」
裁判長「(文さんを刺した後で)家に戻った際、鞘はありましたか」
藤井被告「ない」
《裁判長が答えを引き出してくれたため、検察官は鞘の質問を終える》
《次に大型モニターには地図が映し出される。検察官はそれを藤井被告に示して、最初に文さんを見かけた位置に「○」印をつけるように促す》
《藤井被告は手元にある小型モニターで、思いだすように首を傾けながら印をつける》
《検察官は続ける。藤井被告から見て、文さんが最初に見えた位置に「×」印をつけるように指示する》
藤井被告「ここだったような気もするし、最終的にはここにいた」
《検察官の聞かれたこと以上に次々に印をつける藤井被告。一般市民が参加する裁判員裁判では、より理解が進むようにと、大型モニターが多用される。しかし、被告人が“暴走”すると裁判員の理解の妨げとなり、機材が逆効果になることもあるようだ。裁判長が思わず静止する》
裁判長「ちょっと待ってください。あなたが聞かれていることは、最初に見かけた位置に印をつけてくださいということ。もう1回やり直してください」
《モニターの印がすべて消され、再び藤井被告が印をつけ始める》
《しかし、またしても藤井被告は次々と印をつけていく》
裁判長「あっ~。あっ~。あっ~」
《藤井被告が印をつける度に絶叫する裁判長に、傍聴席からも笑いが漏れる》
《何度か裁判長が絶叫してやり直し、ようやく位置関係図が完成。やっと質問ができるようになり、検察官が口を開こうとすると、裁判長の横やりが入る》
裁判長「少し待ってください」
《6人の裁判員が混乱した頭を整理し、位置関係を理解する時間を裁判長は与えたようだ。しばらく地図が映し出されたモニターを注視する裁判員》
裁判長「では始めてください」
《裁判長は検察官に質問再開を促す。ひと呼吸置いて仕切り直した検察官。その後は、刺した後の行動を淡々と尋ねていった》
=(27)に続く