【裁判員3例目(6)】「犯人は、私を『自業自得』とあざ笑いました」 悲しげに検察官を見つめる女性裁判員
《検察官は、「第1事件」と呼ばれる最初の強盗強姦事件の被害者、Aさんの調書をさらに読み上げた。突然の悲劇に見舞われたAさん。田嶋靖広被告(22)が逃走した後の心中もまた、あまりにもつらいものだった》
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090902/trl0909021410012-n1.htm
検察官「午後10時ごろに解放されました。とにかく何をおいても病院に行こうと思いました、妊娠させられたら、人生が終わってしまうと思ったからです」
《その後、台所のシンクの下にあった包丁差しの中から1本の包丁が消えていることに気付き、Aさんは犯行に使われたのが自分の持っていた包丁だったことが分かったという。恐怖におびえたAさんは、残っていたパン切りナイフを護身用に持ち、自ら自分の車を運転し、病院に向かった。そして、おじ夫婦に電話をして警察に被害を届け出た》
検察官「私は犯人を許すつもりはありません。一生刑務所に入っていてほしいと思います」
「犯人は、私を『自業自得』とあざ笑いました。実際の時間は30分程度でしたが、ものすごく長く感じました」
「『こんなことで人生が終わってしまうのか』と思いました。その恐怖はどんな言葉を使っても表現できません」
《事件から3年近くが経過したが、Aさんはいまだに事件を思いだし、夢を見てしまうという》
検察官「今でも泣いて眠れない夜があります。『自業自得』なんてひどいです」
「『妊娠したらどうしよう』『病気がうつったらどうしよう』という恐怖感がありました」
「住む世界が変わってしまったのではないか、私自身がよごれてしまったのではないか、という思いがありました」
《右から2番目に座っている、ただ1人の女性裁判員は、悲しそうな目で検察官を見つめている》
《検察官は最後に、Aさんの被告人に対する思いを改めて口にした》
検察官「犯人は田嶋という名前だと捜査員の方から聞きましたが、私とは赤の他人です。逮捕されたからといって、恐怖や心の傷が癒されるわけではありません」
「田嶋被告は、できるだけ長く刑務所に入っていてほしいです」
《こう述べて、検察官は被害者Aさんの調書朗読を終えた。女性裁判員は、検察官に向かって、軽く頭をさげた》
《検察官はその後、Aさんが事件で右手に全治3日の切り傷を負ったとする診断書を読み上げた》
《次に手にしたのは、Aさんが病院に行った際にかけつけたという、おじの調書だ。Aさんが病院で診断を受けたときの様子が述べられている》
検察官「事件があった日、私は仕事を終え帰宅していました。午後10時ごろ、Aさんの祖母にあたる、私の母に連絡がありました」
《そこで、Aさんが男に強姦されたという話を聞いたという。家族からAさんを迎えに行くよう言われたおじは、すぐに妻と2人で病院に向かった。そこで目にしたAさんの姿は…》
検察官「救急室に連れて行かれると、Aさんは体を震わせていました。看護師に体を支えられ、やっと歩いているようでした。救急室のイスに、崩れ落ちるように座りました」
「Aさんは、顔が青ざめ、目も赤く腫れていました。口がガタガタと震え、話ができない状況でした。『これはただごとではない。強姦されたんだ』と思いました」
「あまりにも震えてかわいそうなので、声を掛けることもできず、ただ見つめているしかありませんでした」
《その後、看護師から警察に向かうよう勧められたおじ夫婦は、泣きながら震えて、声を出すこともできないAさんを支え、青森県警十和田署に向かったという》
検察官「十和田署に向かう車の中でも、Aさんは泣きながら震えていました。私も妻も、声をかけてあげることができませんでした」
「被告は男として許せない。できるだけ厳重に処罰してほしい」
《こうして、検察官はAさんのおじの調書を読み終えた》
《その後、検察官はAさんが被害現場のアパートから引っ越したときの状況についての報告書や、DNA鑑定の結果、Aさんの体内から採取された遺留物が田嶋被告のDNA型と一致したことなどを記した報告書などを説明。ここで小川賢司裁判長が声をあげた》
裁判長「それでは、以上で終了しましょうか。後は午後ということにします。午後は1時5分から始めます」
《休廷が宣言されると、6人の裁判員と3人の補充裁判員は、小川裁判長や2人の裁判官の後に続いて、法廷を後にした。田嶋被告は、無表情なまま裁判員が退廷する姿を見つめていた》