【裁判員 和歌山地裁】“あなたの判決”は?
《無期懲役を求刑される強盗殺人の刑罰の重さに驚きました》。和歌山地裁で16日に判決公判が開かれた裁判員裁判で初めての強盗殺人事件。55歳の被告に言い渡された判決は検察側の求刑通り無期懲役だった。「あなたが裁判員ならどのような判決を選ぶか」について読者の意見を募ったところ、43歳の男性から冒頭のようなメールが寄せられた。メールは、こう続く。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090917/trl0909172218031-n1.htm
《他の殺人事件に比べ重すぎるように感じました。(全国初の裁判員裁判の)隣人殺害事件では懲役15年でしたが、その差には腑に落ちない部分があります》
確かに殺人罪の法定刑は「死刑または無期懲役もしくは5年以上の懲役」と実に幅広い。ところが強盗殺人罪になると「死刑または無期懲役」。酌量減軽が認められない限り、弁護側が主張した「懲役25年」という判決はないことになる。
冒頭の男性は《被告は今まではまじめに暮らしており、盗みはともかく殺意を持ったのは偶発的ではないかと思いました》と弁護側の主張に理解を示し、懲役25年が適当と判断。だが多くの読者は、酌量は認められないという意見だった。
69歳の女性は《人を殺してまで盗んだ貴金属を売っています。中学卒業後、こつこつと働いた人は大勢います》と死刑を選択。実際にこの事件を傍聴しようとしたが傍聴券の抽選に外れたという和歌山の30代の男性も、《最も許せないのは盗んだ貴金属を換金しただけでなく、その金をパチンコに再投資したこと。更生の余地があるという弁護側の主張は空虚に感じる》と無期懲役を選んだ。
だが、無期懲役という刑の実態も、一般にはあまり知られていない。絶対に刑務所から出られない終身刑と理解している人もいれば、服役後10年で仮釈放が認められるという刑法の規定から、「実際には10年ほどの軽い刑だ」との誤解もある。しかし法務省の統計によると、昨年1年間に仮釈放が認められたのは4人だけで、その服役期間はいずれも20年を超えている。
適切な量刑判断に、刑罰に対する正しい理解は欠かせない。最高裁はこうしたことを踏まえ、「『無期懲役の受刑者は10年くらいで出てくる』という風評は誤り」とする裁判員への説明案を作成した。弁護側も同様の説明に力点を置いたが、京都市の36歳の女性はそれも踏まえたうえで、《被告が本当に反省していれば、10年で出て来られる。決して重い刑とは思いません》と無期懲役と判断した。
裁判員裁判で無期懲役が求刑されたのも、言い渡されたのも初めて。これまでに公判日程が決まった裁判員裁判は50件を超えるが、死刑求刑が予想される事件はまだない。