自宅でコピーした偽1万円札2枚使用 でも裁判員裁判
自宅のプリンターで1万円札4枚をコピーし、2枚を使用――。そんな起訴内容で通貨偽造・同行使罪に問われた男性被告(32)の裁判員裁判が20日、さいたま地裁で始まった。「重大」な事件の審理に市民感覚を反映させようと始まった裁判員制度。「これくらいでも対象?」という意見もある。
http://www.asahi.com/national/update/1021/TKY200910200501.html
被告は4月に自宅で4枚を偽造し、5月、出会い系サイトで知り合った女性と群馬県内のホテルに行った際にマッサージ代として2枚を渡したとして起訴された。検察側は冒頭陳述で「住宅ローンを抱え、もっと自由に使えるお金があったらと、コピーを思いついた」と経緯を説明。少し赤みがかった、透かしのない偽札を裁判員に示した。
裁判員裁判の対象は、殺人など法定刑に死刑か無期懲役が含まれる罪と、傷害致死など故意に人を死なせた罪。通貨偽造・同行使罪は、法定刑が「懲役3年以上または無期懲役」のため対象になる。
同罪の法定刑が重いのは、通貨や国家の信用を損ない、経済活動の根幹を揺るがしかねないためだ。ただ、重い刑が想定されるのは「精巧な偽札を組織的に大量偽造したケース」(さいたま地検幹部)とされる。
同地裁ですでに裁判員を経験した男性(44)は「1万円札4枚の偽造でも裁判員裁判でやるとは」と戸惑い気味。一方で、この日の選任手続きに臨んだ候補者の50代の男性会社員は「広く色々な事件を裁判員裁判で扱うべきだ。少し働けば稼げる金額で一生を棒に振る愚かさを考えられる」と前向きだった。
日本大法学部の船山泰範教授(刑法)は「重大事件だけが裁判員裁判の対象でいいのか考えるきっかけになるのでは。少年事件や、振り込め詐欺など身近な事件を対象にするという考え方もあると思う」と話す。(沼田千賀子)