【主張】裁判員制度半年 経験者の声生かすべきだ
20歳以上の一般国民が刑事裁判に参加する裁判員制度がスタートして半年たった。これまでのところ、一応順調な滑り出しを見せている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091122/trl0911220240000-n1.htm
国民の理解と協力を得るには、いかに裁判員の負担を軽くし、参加しやすくするかの環境作りが肝要だ。必要な是正措置を講じてほしい。
裁判員制度は、1審の刑事裁判に国民の一般常識を反映させることを最大の目的として5月21日施行された。実際の裁判は8月の東京地裁が第1号で、以後、全国の地裁や支部で判決が出ている。
最高裁は、9月末までに計11地裁で行われた14件の裁判に参加した裁判員79人を対象にアンケートをした。その結果、約98%とほとんどの裁判員経験者が「よい経験と感じた」と回答し、予想以上に制度運営がうまくいっていることが裏付けられた。
法廷での審理について、約75%が「理解しやすかった」と答え、評議に関しても「話しやすい雰囲気」が9割近くに達するなど、制度を前向きにとらえている人が圧倒的に多かった。
しかし、今後もこうした高い数字を維持できるかは疑問だ。調査対象とした裁判は、大半が3~4日の短期間で終了した。事件自体も複雑でなく、被告が罪を認めているケースばかりで、争点は量刑のみに絞られていた。裁判員への負担が比較的軽かったことが好意的感想につながったようだ。
課題も少なくない。裁判員候補者として裁判所に呼ばれながら、裁判員に選ばれず、「せっかく都合をつけて来たのに」と不満を漏らす人もいた。裁判員選任手続きにどの程度の人数を呼ぶべきか、裁判所は考慮する必要がある。
アンケートでは、検察側の立証を「分かりやすい」と評価する人が多数を占めた。反対に弁護側については「分かりにくい」との意見があり、弁護人は裁判員裁判でのわかりやすい立証方法に早く習熟することが急務である。
裁判員自体についても、判決後の記者会見に全員欠席した例や、公判中の感情的発言を裁判長に制止されたケースがある。裁判員には判決後も厳しい守秘義務が課されているが、その範囲については極力限定する必要があろう。
今後は被告が否認したり、争点が複雑だったり、死刑選択を迫られる事件が増えてくる。経験者の貴重な声を尊重し、裁判員への配慮と工夫ある運営を求めたい。