県内初の裁判員裁判、控訴 「短い公判」問題投げ掛け
長野地裁で開いた県内初の裁判員裁判で、殺人と盗みの罪に問われ懲役22年(求刑懲役23年)の判決を受けた住所不定、無職小野沢浩正被告(46)は24日、判決を不服として東京高裁に控訴した。控訴理由に公判日程の短さを挙げており、裁かれる立場から裁判員制度に問題を投げ掛けたといえる。市民が参加しない控訴審で職業裁判官がどんな判断を示すのか注目される。
http://www.shinmai.co.jp/news/20091225/KT091224FTI090032000022.htm
小野沢被告は控訴前、信濃毎日新聞記者と接見。3日間だった公判期日に触れ、十分な審理が尽くされたか疑問を呈した。被告の弁護人で、公判では「懲役13年が妥当」と主張した山崎勝巳弁護士(長野市)は「懲役22年は今でも重い印象がする。控訴は本人がよく考えて決めた結果だと思う」とする。
殺人事件を審理した全国初の東京地裁の裁判員裁判で懲役15年を言い渡された被告は、量刑を不服として控訴。東京高裁は今月17日、一審判決を支持し、控訴を棄却した。裁判員裁判の判決を控訴審でどう判断するかは制度導入前からの課題だったが、同高裁は一審で示された市民感覚を重く見た。
これに対し弁護士からは、裁判員裁判の判決が覆れば制度の意義を問われかねないが、市民感覚が常に正しいわけではない-との指摘も。山崎弁護士も「裁判員裁判の判決だから控訴するなと言うのであれば、法制度全般の見直しが必要になる」と話す。
甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「裁判員裁判で量刑判断や事実認定に大きな誤りがない場合、一審判決を尊重すべきだ」と指摘。その上で、一審判決を高裁で点検する被告の権利を守るべきだ-と主張する。
高裁が一審判決を破棄して審理を地裁に差し戻した場合、もう一度、裁判員裁判が開かれる。渡辺教授は「高裁は、一審判決に誤りがあれば制度を大胆に運用するべきだ」としている。