【主張】裁判員2年目 課題克服し制度の定着を
昨年5月にスタートした裁判員制度は、2年目を迎えた。今年は検察側の死刑求刑が予想される重大事件なども出てきそうで、制度が根付くかどうかを占う正念場の年になる。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100109/trl1001090224000-n1.htm
一般の国民が1審の重要事件の刑事裁判に参加する裁判員制度は、昨年の5月21日以降起訴された事件が対象となった。実際に公判が開かれたのは、8月3日の東京地裁での裁判が第1号で、この後全国の各地裁で次々と始まり、計138件を数えた。
今年は1年を通じて開かれるため、当然のように裁判件数は増える。裁判員の数も増加し、負担はより重くなることを覚悟しなくてはならない。
昨年の裁判員裁判では、検察側の死刑求刑は1件もなかった。被告側が起訴事実を認めていて、量刑のみを争う事件が大半でもあった。裁判員にとっては比較的審理しやすい裁判だったわけである。公判回数もおおむね3~4回と、短期間で終わった。
しかし、今年は死刑求刑事件とともに、被告側が無罪を主張して徹底的に争い長期化するケースも増えるだろう。たとえば鳥取地裁では、鳥取県米子市で税理士ら2人を殺害し、現金を奪ったなどとして強盗殺人罪に問われた男性被告の審理が2月23日から始まる。犠牲者が2人のため、死刑が求刑される可能性が高い。
さらに、マスメディアが大きく報道した社会的に関心が高い事件も審理の対象となってくる。千葉県市川市で起きた英国人女性、リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件なども、年内に初公判が開かれるだろう。
昨年の裁判員裁判は、予想以上に順調に滑り出した。裁判員を経験した人の大半は、「貴重な経験をし、有益だった」との好意的な感想を語っている。選ばれれば、裁判員をつとめることは国民の義務であるという風潮が定着しつつあるといっていい。
しかし一方で、裁判員には評議の内容や評決の結果を漏らしてはならないという厳しい「守秘義務」が課せられ、その重圧に対する苦情も出てきている。もっと柔軟な対応が必要であろう。
裁判員制度は、施行から3年後に見直すことが定められている。検証作業を常に怠らず、課題や問題点が出てくればそのつど議論する努力を続け、制度の定着につなげたい。