県内2例目の裁判員裁判、明日始まる
□裁判員法廷@山形
○「主犯」と「共犯」分離/2例目明日から『強盗致傷事件』
県内2例目の裁判員裁判が15~18日、山形地裁で開かれる。審理されるのは昨年8月に酒田市と三川町で起きた強盗致傷事件で起訴された「主犯格」とされる被告。二つの事件には「共犯者」がいるとされるが、裁判は分離して先に主犯とされる被告の罪を問う。共犯とされる被告の裁判は後から別の裁判員が裁く。一連の事件を異なる裁判員が裁くことの難しさや判決への影響はあるのか。(棟形祐水)
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○争点は3被告の役割
二つの強盗致傷罪で審理されるのは酒田市日の出町1丁目の無職渡会広悦被告(31)。起訴状によると、渡会被告は鶴岡市倉沢の会社員伊藤信康被告(27)、酒田市大宮町4丁目の無職菅原光康被告(32)と共謀して犯行を計画。昨年8月29日未明、酒田市内の市道で、菅原被告が20代女性の顔を殴って1週間のけがを負わせ、手提げ袋を奪ったとされる。
さらに翌日、渡会被告は菅原被告と共謀し、金品を奪う目的で三川町のホテルに酒田市の風俗店の20代女性を呼び、顔を殴るなどした。女性が騒いだため、2人はサービス料1万2千円を払わず逃げた。渡会被告が呼び出し、菅原被告が暴行したという。
山形地裁によると、公判前整理手続きで、検察側と弁護側は3被告とも事実関係は争わない方針という。渡会被告は両事件とも犯行を計画し、菅原被告に実行を指示したとされる。
3被告の裁判は分離して審理し、伊藤被告の裁判は今月22日から、菅原被告の裁判は4月に予定しており、それぞれ別の裁判員が裁くことになる。「主犯格」、「共犯者」とされる3被告が果たした役割の違いや情状面などが争点になるとみられる。
○山形大・高倉新喜准教授に聞く
《長所》審理短く負担が軽減/《短所》裁判官との情報格差
同じ事件の複数の被告を別々に分離して裁く影響はあるのか。山形大の高倉新喜(しん・き)准教授(刑事訴訟法)に聞いた。
――分離するメリットは。
3被告を一緒に審理するより、1人ずつの方が1件あたりの審理時間が短縮され、裁判員の負担は軽減される。また、今回は二つの事件に3被告が絡むので、1人ずつ審理する方が裁判員にはわかりやすい。例えば、3被告を一緒に審理する場合で、法廷で3被告の供述が食い違うとき、裁判員は混乱するだろう。裁判員を意識した配慮ではないか。
――デメリットは。
継続して3件を審理する裁判官と1件ごとに選ばれる裁判員の間に情報格差が出る。裁判員はただでさえ、公判前整理手続きに参加できない。また、証人が何度も呼び出されて負担になる可能性もある。
――裁判員の量刑判断に影響は出ますか。
今回は「主犯格」とされる被告の判決が最初に出されるため、その後に出される「共犯」とされる被告の量刑に一定の指針を示すことになるのではないか。ただ、同時に判決を出さないので刑の均衡が保ちにくい。裁判員が「主犯格」と「実行犯」のどちらの責任を重いと判断するか。
――注目する点は。
2日目の被告人質問だ。県内一例目の裁判員裁判(昨年11~12月)では犯行状況より被告の更生について質問が相次いだ。今回の争点は3被告が犯行で果たした役割。3被告の人間関係についての質問が多く出るのではないか。